個人事業主のメリットとデメリットとは?法人化やフランチャイズの選択肢も

会社勤めをするサラリーマン、自ら事業を起こす経営者、自由度の高い働き方を選択する個人事業主など、現代社会ではさまざまな働き方があります。裏を返せば、自分のライフスタイルや人生観に合わせて、働き方を自由に選べるともいえます。
現在の働き方に満足していない、もっと自分のやりたいことや自由な時間を重視して働きたいなど、時代の変化に合わせて働き方を選択していきたい人も多いでしょう。今回は、現在所属している組織から独立し、個人事業主としての働き方を選択するメリットやデメリットをご紹介します。

日本の自営業主(個人事業主)

総務省によれば、自営業主(個人事業主)とは、「個人経営の事業を営んでいる者」と定義されています。

人生100年時代に突入する日本では、65歳以降でも自由に働き、一定の収入を得ることができるのは、大きなメリットがあるといえるでしょう。歳をとってまで働きたくないと考える人もいますが、年金のみの収入では毎月赤字になってしまう可能性があります。老後の蓄えには2000万円が必要という金融庁のレポートが発表されましたが、働くことができれば毎月の収支をプラスにすることができます。それほど多くの蓄えが必要となることはありません。

個人事業主のメリットとデメリット

年齢に関係なく働き続けることができるのは、個人事業主のメリットのひとつです。その他にも個人事業主には、サラリーマンにはない多くのメリットがあります。最大のメリットは、働くうえで自分自身に決定権があり、時間を自由に使えることです。神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄匿名教授と同志社大学経済学研究科の八木匡教授が発表した『幸福感と自己決定―日本における実証研究』という論文によれば、人間の幸福感に影響を与える要因として、「健康」「人間関係」に次いで「自己決定」が挙げられています。興味深い点は、「所得」「学歴」よりも「自己決定」の方が幸福感に大きな影響を与えているという結果です。

サラリーマンのように大きな組織に属している場合は、自己の決定権は大きく制限されます。自分ではやりたくない仕事でも、組織の論理に従わなければならないケースが多く存在します。そういう意味では、日本のサラリーマン的な働き方は、幸福感を感じづらいといえるでしょう。
この論文では「自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなり、また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感や自尊心により幸福感が高まることにつながっていると考えられます」と指摘されています。

ビジネスにおいて目標の達成をすることができれば、結果的に収入増加につながる可能性も広がります。

個人事業主という働き方は、人間の幸福に寄与するというメリットだけでなく、税金やキャッシュフローなどの面でも多くメリットがあります。具体的にいえば、青色申告をすることで得られる税制上のメリットです。

例えば、複式簿記で帳簿管理をしていれば65万円、簡易簿記であれば10万円を課税所得から控除できます。また、事業の赤字を損失申告すれば、3年間は赤字を繰り越すことができるため、納税額を抑えることができます。

経費については、家族への給与も経費として計上することができます。イラストレーターやプログラマーのように、自宅兼オフィスとして働いている場合は、家賃や光熱費の使用割合を計算して経費に参入することができます。
事業主としての事業所得のほかに、アルバイトによる給与や雑所得がある場合には、それらの収入と事業所得を合算して申告できます。事業所得が赤字の場合でもその他の収入を合算することで、税金の還付を多く受けられる場合があります。金融機関の口座は屋号を使うことができるため、プライベート用と別にすることで資金管理が容易になります。

これらの税制上のメリットを受けるには、毎年、税務署に複式簿記による確定申告が必要であるデメリットもあります。最近ではfreeeのような開業や確定申告に関する書類を簡単な入力だけで作成するサービスがあるため、必ずしも税制や複式簿記に関する厳密な知識が必要というわけではありません。

法人化のメリットとデメリット

個人事業主として開業した後に、事業を法人化するべきか迷う人が多くいます。いわゆる「法人成り」をすると、社会的な信頼度や資金調達の面で、個人事業主とは違うメリットがあります。一般的に、事業を大きく拡大していく場合には法人化した方が有利といわれています。

法人化することのメリットのひとつに、社会的な信頼度が上がることが挙げられます。なぜなら、法人は登記簿謄本によって会社の所在地や資本金などの情報が公開されているからです。これに対し、個人事業主は登記をする必要はありません。ビジネスの相手からすれば、個人事業主はペーパーカンパニーや反社組織である可能性はゼロではありませんので、企業によっては法人としか取引しないところもあります。
その他に、法人の場合、事業に失敗して会社が倒産したときには、出資した範囲内でのみ返済の責任を負います。これを有限責任といいます。個人事業主の場合は無限責任のため、事業に失敗して負債が発生した場合はすべてを返済する必要があります。事業に失敗するリスクを考えた場合、法人化している方が負債の負担を軽減することができます。

税制面では、役員報酬に給与所得控除が適用されるメリットがあります。社長に対する役員報酬は経費として計上することができ、その役員報酬自体にも給与所得控除が適用されます。65万円〜220万円の範囲で控除を受けることができます。また、退職金に関しても法人であれば適正額の範囲で損金として扱うことができます。

決算に関しては、個人事業主の場合、毎年3月15日までに確定申告することが決められています。それに対して法人の場合は、決算月を自由に設定することができるので、繁忙期を避けて決算をするなど、ある程度の融通が利きます。
反対に法人化するデメリットを挙げると、単純にコストがかかります。株式会社を設立するには約25万円、合同会社の場合は約10万円の費用が必要です。手続きに関して司法書士などを利用すれば、さらに費用はかさみます。設立時のコストだけではなく、法人は社会保険や労働保険に加入しなければなりません。社会保険料の半分は会社の負担ですので、社員を雇うごとに経費は増加します。さらに事業が赤字になった場合でも法人には税金がかかります。個人住民税と法人住民税の均等割があるため、最低7万円は納税する義務が発生します。

デメリットはコストだけではなく、事務処理の負担も増えます。税や保険に関する提出書類は複雑になり、ある程度の規模の会社なら税理士と契約する必要がありますので、コストもかかります。

サラリーマンは選択肢のひとつでしかない

個人事業主や経営者など、サラリーマンではない働き方をしたいと思っても、すぐには自分のできるビジネスが思い浮かばないかもしれません。副業を始める、フランチャイズ経営を検討してみる、フリーランスでできそうなビジネスを考えるなど、稼ぎ方の選択肢は多くあります。例えば、フランチャイズ経営ならすでに利益を上げる仕組みが完成しているため、業界未経験者でも参入しやすい働き方です。大手コンビニに限らず、飲食店やトータルリペアのような修理業など、フランチャイズの形態をとる職種は数多くあるため、自分の働き方を検討してみましょう。

 

参考: